今回は,借金問題についてお伝えします。以前もお伝えしたとおり,借金の問題については,大きく分けて,①任意整理,②自己破産,③個人再生のいずれかの方法で対応することが一般的です。
①の任意整理は,借金を分割して返していくことを債権者と合意することをいい,➁自己破産は借金をゼロにすることをいい,③個人再生は,借金を大きく減額したうえで分割して返済していくことをいいます。
そして,借金問題で大切なのは,お早めに弁護士や司法書士の専門家に相談することです。何故かというと,お早めに相談しないと,借金の取り立てや生活苦から,法律的にはするべきでないことをしてしまう恐れがあるからです。
では,どういうことが法律的にするべきでないかというと,まず①他の債権者には返済せず,特定の債権者だけに積極的に返済することです。これは,偏頗弁済というのですが,債権者には平等に借金を返さなければならないのに,特定の債権者だけを優先的に扱う点で,法律上禁止されています。
また,➁換金行為も禁止されています。これは,自分の財産を大きく減らしてしまったり,また,不法行為になる恐れがあるためです。
また,③氏名等を偽って借入を行うことも禁止されています。これも,詐欺や不法行為になる恐れがあるからです。
また,④ギャンブル等で浪費し,借金を膨らませることも避けるべきです。
これら①から④等の行為をしてしまうと,借金の整理を専門家に依頼した時に,費用が高額になる恐れがあります。
自己破産の費用は,大きく⑴弁護士の報酬と⑵裁判所に納める費用,に分かれます。この⑵裁判所に納める費用は,(ア)最も単純な手続きであれば1万円強で済みますが,(イ)①から④の事情があれば,20万円以上(40万円以上になってしまうことも)かかってしまう恐れが出てきます(もちろん事案によりますが。)。
また,①から④等の行為をしてしまうと,最悪の場合,自己破産をしても借金がゼロにならない恐れがあります。
以上から,借金問題でお悩みの場合は,お早めに弁護士や司法書士の専門家にご相談ください。
弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第287号(2018/11/9発行)掲載