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リーガル通信 ~民法改正~

2019年05月13日

 大変お世話になっております。紋別ひまわり基金法律事務所の梶本です。ご存知の方も多いと思いますが,この度,大規模な民法の改正が行われます。また,改正された民法は,2020年4月1日から施行されます。そこで今回は,民法改正について記載します。民法の改正点は数多くあるので,その中のいくつかを取り上げます。

 

 まず,金銭債権の法定利率が変わります。現在の法定利率は,基本は5パーセント,商事利率(商取引で適用される法定利率)は6パーセントとなっています。しかし,民法が改正されると,法定利率が変動制となります。そのため,法定利率分の金銭を相手方に請求するときは,その金銭債権に適用される法定利率が何パーセントであるかを確認する必要があります。なお,法定利率は,当事者間で利率についての合意がない場合に適用されるため,当事者間で法定利率と異なる合意があれば,合意された利率が適用されることとなります(もっとも,高すぎる利率は違法無効となります)。

 

 また,債権の時効についても改正が行われました。現行の民法では,一般債権については原則10年,商行為で生じた債権については5年で時効消滅します(サラ金からの借金など)。しかし,改正民法では,時効について二元的なシステムが採用されることとなります。すなわち,債権は,①権利を行使することができる時から10年(客観的起算点から10年),➁権利を行使することができることを知った時から5年(主観的起算点から5年),で時効消滅することとなります。また,これに伴い,商事利率等の短期消滅時効は廃止されることとなります。

 

 この他にも,民法の改正点は数多くあります。例えば,契約の解除について,相手方に契約違反があっても,契約違反の程度が軽微であれば契約を解除することができないことが明記されました。

 

民法改正は,皆様の暮しにも深く関係してくるもののため,ぜひ関心を持っていただければと存じます。

 

 

弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第299号(2019/5/10発行)掲載