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リーガル通信 ~お金の貸し借り~

2015年10月29日

 お金を借りたら返さなくてはならないことは当然です。
 これは、借用書や契約書のありなしにかかわらないのですが、では、口約束でお金を貸すことでも大丈夫なのでしょうか。

 

 たとえば、お金を貸したにもかかわらず、借りた者が「借りた覚えはない」と嘘をついた場合、最終的には裁判によってお金を回収するほかありません。この裁判の中で、貸主は、お金を渡したことと、それを返す約束をしたことの二点を、自分で証明しなければなりません。
  そして、この証明がうまくできなかった場合、裁判では、貸主がお金を貸していないと判断され、結局お金は戻ってこないこととなってしまいます。

 

 この点、借用書や契約書があれば、比較的簡単にお金を貸したことを証明できます。しかし、これがないと、その証明は非常に難しいこととなります。
 これで、借用書や契約書を作ることがどんなに大切なことかがわかっていただけると思います。

 

 では、借用書や契約書にどのような事項を記載すればよいのでしょうか。
 ざっと挙げますと、①当事者(貸主・借主)の住所氏名、②いつ、いくら貸したのか、③弁済期日はいつか、④利息はとるのか、とるとすればその利率はどれだけか、この四点は最低限記載する必要があるでしょう。
 その上で、相手方(借主)の署名と捺印をもらうことが大切です。そうすれば、後に自分はそんなものを書かなかったとは言いづらいからです。

 

 このコラムをご覧になって、「私、借用書を作らずにお金を貸してしまった!」と、はっとされる方もいらっしゃるかもしれません。
 心当たりのある方は、今から借主に申し入れて借用書などを作ってもらうのも一つの方法です。
 また、「借用書」「契約書」という形式にこだわらなくても、返済を受けたときに「○月○日金○○円の借入金の残金が○○円であることを確認します」と書いてもらったうえで署名をもらうだけでも十分な証拠になります。
 要するに、お金の貸し借りがあったことを相手に書いてもらうことが大切なのです。

 



弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第211号(2015/10/30 発行)掲載