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リーガル通信

2015年12月24日

 これからお正月を迎え、実家に帰省される方も多いのではないでしょうか。両手一杯にお土産袋を提げ、田舎に帰って両親と昔話や、近況の話に花を咲かせる・・・こんな光景が繰り広げられるご家庭が多いかと思いますが、お正月は、両親の異変に気付くよいタイミングでもあります。
 たとえば、実家のちゃぶ台の上に、見慣れない会社からの葉書が置いてあるような場合、あるいは、前回帰省した時から異様に物が増えているような場合などは要注意です。


 最近、高齢者が訪問販売や通信販売に多額の金銭を投じてしまうケースが増加しています。特に、一人暮らしの高齢者の場合には、事業者と高齢者のみで契約が行われるため、家族などが実態を把握できないこともあります。
 もちろん、高齢者自身で、不信感を抱いたらきっぱりと断るという自衛手段を講じることが一番重要なことではあるのですが、特に判断能力に不安があるような方の場合ですと、自身で理解できないまま、次々と物品を購入してしまうようなケースも見られます。


 このような場合には、ご両親のどこに原因があるのかを把握することが重要です。つまり、本人が内容を十分に理解したうえで契約をしているのか、それとも、理解できない状態で契約をしてしまっているのかということです。
 前者の場合はさておき、後者の場合には法律的な手当、すなわち成年後見制度の利用をおすすめします。なぜなら、(判断能力の低下の度合いにもよりますが)本人が不必要な物を購入してしまった場合には、成年後見人があとからその契約を取り消したりすることができますし、また、本人が自分の思うがまま財産を使ってしまわないよう、後見人が本人に代わって、財産を管理することができるからです。


 ともあれ、本人を抜きにした状態で、周りの人間が勝手に物事を進めてしまうことも好ましくありません。
 まずは本人とよくコミュニケーションをとって、本人の置かれている現状や希望を把握することからはじめてみてはいかがでしょうか。お正月は、このようなコミュニケーションをとるよい機会になると思います。

 

 
弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第215号(2015/12/25 発行)掲載