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リーガル通信 ~離婚にともなう「氏」(苗字)の変更~

2016年08月02日

 今回は主に女性の方が対象となってしまいますが、離婚にともなう「氏」(苗字)の変更についてお話したいと思います。

 

 結婚した際に氏を改めた方を前提にお話しますが、そういった方が離婚する場合、原則的には氏は旧姓に戻ることとなります。ただし、結婚時の氏をそのまま名乗っていたい場合には、役所にその旨の届出をすることとなります(書式は役所で配布されます)。注意していただきたいのが、離婚してから三ヶ月以内にこの届けをしなければならないことです。この期間を過ぎてしまうと、結婚時の氏をそのまま名乗るためには、裁判所の手続を使わなければならなくなってしまいます。

 

 次に、お子さんの氏についてお話します。まず、親権者が旧姓に戻った場合に、お子さんの氏も自動的に変わるわけではありません。つまり、親権者の氏とお子さんの氏が異なってしまうこととなりますし、氏が異なる以上、お子さんは親権者の戸籍に入ることもできません。この場合、まずは家庭裁判所に、子の氏の変更の申立てをする必要があります(役所ではありませんので注意が必要です)。そして、家庭裁判所でその許可が下りれば、その許可が下りたことを示す書類(審判書、といいます)を持って役所に出向き、子供が親権者の戸籍に入るとの届出を行います。この届出が受理されると、正式にお子さんの氏が親権者の氏と同一になり、また、お子さんと親権者が同一の戸籍に入ることとなります。

 

 では、親権者が結婚時の氏をそのまま名乗る選択をした場合はどうでしょうか。この場合、見た目のうえでは親権者の氏と子供の氏が同じですので不都合はないように思われるかもしれません。しかし、あくまでも結婚時の氏を「名乗る」ことが許されるだけですので、法律上の氏は、やはり旧姓に戻ることになります(わかりづらいですが)。したがって、親権者とお子さんが同じ戸籍に入るためには、先ほどお話した、子の氏の変更手続が必要となってきます。

 

 なお、紙面の都合で詳しくは触れられませんが、離婚の際に結婚時の氏を名乗るという選択をした場合に、あとから旧姓に戻すということも場合によっては可能です。詳しくは、専門家にご相談いただければと思います。

 

 

 弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第229号(2016/7/22発行)掲載