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リーガル通信 ~離婚~

2017年01月19日

 新年早々縁起でもないテーマかもしれませんが,今回は,離婚のことについてお話したいと思います。

 

 よく,「とりたてて不満があるわけではないが,性格が合わないと感じるようになったので離婚してほしい」と,性格の不一致を理由に相手から離婚を突きつけられたが,離婚には応じたくない,どうしたらよいかという相談をお受けします。このような場合,離婚に応じなければならないのでしょうか。

 

 まず,離婚の方法についてお話しますと,協議離婚,調停離婚,裁判離婚という3つの制度が用意されています。

 

 協議離婚は,文字通り夫婦での話し合い(協議)によって離婚するかどうかを決めるもので,話し合いによって夫婦の双方が納得して離婚届を提出することで離婚が成立します。そして,協議離婚では,明確な離婚の理由が必ずしも必要ではないため,お互いが納得すれば,性格の不一致という理由でも離婚は可能です。

 

 しかし,今回のケースのように,夫婦の一方が離婚を拒む場合には,家庭裁判所に離婚調停を申し立て,相手に離婚を求めることとなります。離婚調停は一種の裁判手続ではあるものの,あくまでも調停委員を中心とした話合いですから,調停の中で双方が離婚に同意すれば,たとえ性格の不一致を理由に離婚を求めても,離婚調停が成立することになります。

 

 さて,調停でも離婚の合意が成立しない場合には,いよいよ離婚訴訟を起こすこととなりますが,裁判による離婚の場合には,法律(民法)が定めている離婚原因が存在しなければなりません。紙面の都合で詳しいことはお話できませんが,相手の不倫や行方不明などがその代表例です。

 

 では,性格の不一致はどうかと言うと,民法が定めている離婚原因には当てはまらないというのが一般的な考え方です。したがって,性格が合わないということで離婚を求めても,相手がそれに納得しない限り,実際に離婚をすることは難しいと言えますし,逆の立場からすると,必ずしも離婚に応じなくてもよいことになります。また,「性格の不一致」とは表面的な理由で,実はその裏に,相手の不倫などが隠れているケースもありますので,安易に相手方の要求を受け入れないほうがよい場合もあります。

 

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第241号(2017/1/20発行)掲載