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リーガル通信 ~敷金~

2017年03月17日

 進学や就職、異動のシーズンに入ってきましたね。これを機に、新生活を始める方も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。そして、新生活を始めるにあたって、今住んでいるアパートなどから引っ越しをされる方もいらっしゃるかもしれません。そのときによくトラブルになるのは「敷金」です。今回は、敷金の返還について、簡単にお話しします。

 

 アパートなどを借りる際、大家さんに敷金を家賃の何か月分か差し入れることが多いかと思います。敷金とは、未払いの家賃や原状回復費用などを担保するために支払うもので、これらを差し引いた残額は、借主に返還されるべきものです。ところが最近、退去時に敷金を返還してくれないというトラブルが急増しています。

 

 特に多いのが、畳の取り替えやクロスの張り替えなどが必要だという理由で敷金を返還してくれないケースです。返還してくれないということは、これらを借主が負担しなければならないということになりますが、そもそも、借主はどこまでの原状回復をしなければならないのでしょうか。

 

 こういったトラブルで参考になるのが、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というものです。これによると、自然に劣化・損耗するものや、通常の使用による損耗は、借主が原状回復を行う義務がないとされています。逆に、通常の使用を超えた使用により損耗させた場合には、借主が原状回復をしなければならないとされています。先ほどあげたクロスの張り替えの例で言うと、タバコのヤニなどでクロスを汚してしまった場合には原状回復が必要となります(その分、敷金から差し引かれる)が、日照などの自然現象で変色してしまった場合には原状回復をする必要はありません。この場合は、大家さんに、敷金の返還を求めることができるのです。

 

 ただし、契約で特別の定め(たとえば、借主がクロス張り替え費用の半分を負担する、などの定め)があれば、場合によってはその費用を負担しなければなりません。ですから、契約をする際には、自分がどこまで原状回復をしなければならないのかチェックしておくことが重要です。

 

 これから引越しをされる予定のある方は、自分の敷金がちゃんと戻ってきたか、転居先の契約内容はどうなっているかをぜひ確認してみてください。

 

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第245号(2017/3/ 17発行)掲載