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リーガル通信 ~不動産売買~

2017年06月12日

 不動産を売買するにあたって,売主が知人ということもあり,契約書の作成を省略するケースを見かけることがあります。契約書がないと困ることはないでしょうか,また,契約書を作成する際に注意しなければならないことは何でしょうか。

 

 いかに高額な不動産であっても,売主と買主の意思が合致すれば,売買契約は成立したことになります。ですから,契約書の作成がなくとも,売買契約が成立したと言えますし,名義変更の手続を売買契約書なしで行うことも可能です。

 

 しかし,これは,契約が成立したあと,代金の支払いや名義変更の手続,物件の引渡しなどの手続が円満に完了すれば問題にならないというだけのことです。

 

 契約書の作成がされない場合には,様々な危険が予想されます。
 最も大きな問題として,後日,売主が売ったつもりはないなどと言い出すことです。この場合,契約書がないことが致命的になりかねません。
 そのほかにも,代金の支払い方法や引渡し期限など,後日紛争の種になりそうな事項は数多くあり,契約書を作成することで,これらの問題が生じることを防止し,また,紛争が生じた場合にも早く,確実に紛争を終了させることができるのです。
 したがって,相手が友人であるからといって契約書の作成を省略したりしないことが望ましいでしょう。

 

 また,契約書には数多くの項目が記載されることが一般的ですが,その中でも次に掲げる項目は特に注意を要するものです。

 ①売買の目的物は何か(どこの土地建物か),②代金はいくらか,どのような方法で支払うのか,③権利の移転時期や引渡し時期はいつか,④引渡し時に引き渡すべき書類は何か。

 以上に掲げた項目は一般的に注意が必要な項目ですが,契約の内容によって注意が必要な項目は異なります。
 契約にあたっては,契約書をよく読み,疑問点をなくしておくことはもちろん,売主と買主が合意した事項があれば(たとえば,税金の負担割合など),その内容を契約書中に正確に記載しておくことが大切です。

 

 

 

 

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第251号(2017/6/9 発行)掲載