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リーガル通信 ~借地上の建物の譲渡~

2017年07月11日

 ご自宅が建っている土地が借地であるケースが間々みられます。こういった場合にご自宅を処分しようとする際,どのような手続が必要でしょうか。

 

 土地が他人所有のもので,これを借りて建物を建てている場合,その建物を譲渡すると同時に,敷地を借りている権利(賃借権)もあわせて譲渡することとなります。ですから,建物を譲渡するためには,賃借権を譲渡することについて,地主から承諾を得る必要があります。そうであるにもかかわらず,地主に承諾を得ないまま借地上の建物を譲渡してしまいますと,ケースバイケースですが,これを理由に敷地の賃貸借契約が解除される場合があります。このような行為をすることで,地主との信頼関係が崩れてしまったと評価されうるからです。

 

 では,地主が建物の譲渡を許可しない場合はどうでしょうか。この場合,建物譲渡を検討している借地人は,裁判所に対して,地主の承諾に代わる許可の裁判を求めることができます。裁判所は,地主が譲渡を許可しないことが正当かどうかを判断し,それが不当であれば,承諾に代わる許可の裁判をすることとなります。これで,裁判所のお墨付きが得られるわけですから,借地人は建物の譲渡を行うことができるのです。なお,これもケースバイケースですが,裁判所は許可の裁判をする際,地代の値上げなどを命じることや,地主に対して一定の金銭(いわゆる「承諾料」)の支払を命じたりすることもあります。

 

 なお,「地主が譲渡を許可しないことが正当かどうか」という点ですが,様々な事情が考慮されます。たとえば,借地権の残っている期間の長短や,借地に関するこれまでの経緯,さらには,建物の譲渡を必要とする事情などが総合的に考慮されるようです。その考慮の一つに,先ほどお話した,いわゆる承諾料の支払も含まれます。この承諾料ですが大体の相場があり,借地権価格の一割程度とされています。「借地権価格とは?」と思われた方もいらっしゃるかと思いますが,話が長くなってしまいますので,借地上の建物の処分をご検討されている方は,お近くの専門家にまずは相談してみてください。

 

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第253号(2017/7/7 発行)掲載