以前、架空請求に関する話題をこの欄でお話させていただきましたが、最近立て続けにご相談をお受けした件がありますので、繰り返しにはなりますが注意喚起をさせてください。
この1か月ほど、「民事訴訟管理センター」なる機関からハガキが届いたという相談を何件かお受けしました。このハガキは、総合消費料金が未納になっているなどとうたい、「民事訴訟としての訴状が提出された」「給与の差し押さえ及び動産物、不動産の差し押さえ」などと脅して不安を煽り、訴訟の取り下げについて相談するよう誘導しています。
法的な知識のない方がこのハガキをご覧になると、たとえ料金の滞納などに心当たりのない方でも不安になって、ついついハガキに書かれてある連絡先に問い合わせをしてしまうかもしれません。これが、何かの料金を払っていない方だとなおさら不安に思うことでしょう。
しかし、騙されてはいけません!
ハガキには不安を煽るようなことが多数記載されていますが、まず、本当に「訴状が提出された」場合、その訴状が訴えられた側に必ず届くことになります。このハガキ自体架空な請求ですから、裁判所から訴状が送られることはまずありませんが、心配な方は、問い合わせ先に連絡するのではなく、まず裁判所からの訴状の送付を待ってみてください。きっと送付はされませんから。
それから、「給与の差し押さえ」ですが、このハガキが届いただけで差し押さえになることはまずありません。差し押さえは一部の例外を除き、基本的には訴えられた後の判決が出るまではできないことになっていますから、ハガキが届いてもすぐに差し押さえになるなどということはありえません。
ですから、このような身に覚えのない請求には応ずる必要はありません。はがきが届いても無視することが大切です。
また、ハガキに記載された連絡先には決して連絡しないでください。電話などをしてしまうと相手に個人情報が伝わってしまい、繰り返しお金の請求をされることになりかねません。
不安になったり迷ったりした場合には、消費者センターや専門家にご相談することをお勧めします。
弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第261号(2017/10/27発行)掲載