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リーガル通信 ~時効~

2019年12月19日

①はじめに

 

 今回は,消滅時効について記載します。消滅時効制度により,一定の期間が経ってしまうと,お金などの権利を請求できなくなってしまう恐れがあります。そのため,生活するうえで,時効の完成には気を付ける必要があります。また,2020年4月1日から,民法が改正され,消滅時効についても新しいルールが始まります。そのため,民法改正後のルールについてもご説明します。

 

②現在の時効制度

 

 まず,債権とは,お金などを請求できる権利のことです。そして,一般的な債権は,原則として,請求できる時から10年間経つと消滅時効が完成してしまいます。消滅時効が完成してしまうと,原則として,お金の返済などが請求できなくなってしまいます。

また,現在の消滅時効制度では,一般的な債権以外の様々な債権について,個別のルールを定めています。

例えば,交通事故でケガなどをして,不法行為の損害賠償請求をする時は,損害と加害者を知った時から3年,もしくは交通事故の時から20年で,債権は時効消滅してしまいます。また,サラ金から借金をした場合など,会社関係などの債務は5年間で時効消滅します。

 

③改正後の時効制度

 

 次に,民法改正後の時効制度について記載します。まず,一般的な債権については,権利が発生した時から10年間,もしくは権利を行使することができることを知った時から5年間で時効消滅します。

また,交通事故など,不法行為に基づく損害賠償請求権については,改正前と同じく,損害と加害者を知った時から3年,もしくは損害発生の時から20年で時効消滅します。もっとも,被害者保護のために,人の生命や身体が侵害された場合の損害賠償請求権は、権利が発生した時から20年間,もしくは権利を行使することができることを知った時から5年間で時効消滅することとされました。

また,時効の完成を防ぐ制度として,当事者の間で書面を作り,一年間,時効の完成を猶予することができる制度も新しく始まります。

 

④終わりに

 

 消滅時効は複雑な点があるので,弁護士等の専門家にご相談ください。

 


弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第315号(2019/12/20発行)掲載