①はじめに
今回は,「売買契約」について記載します。2020年4月1日から,民法が改正され,新しいルールが始まっています。そのため,今回は,民法改正後のルールを記載します。
②事例
もし,甲さんが,中古自動車屋から,中古自動車を買ったとします。しかし,中古自動車は,2週間乗っただけで,走行しなくなってしまいました。また,甲さんは,取扱説明書に従って自動車に乗っており,故障の原因は,納品時から不具合があったと考えられます。この時,甲さんは中古自動車屋に対し,どのような請求ができるでしょうか。
③請求の内容
まず,甲さんは,自動車が動かないことで被った損害の賠償を,中古自動車屋に請求できます。もし,甲さんがこの自動車を転売しようとしていれば,転売によって得られるはずであった利益も請求できます。もっとも,損害賠償請求は,中古自動車屋に責任がない場合はすることができません。
また,甲さんは,このような自動車はいらないとして,自動車を買った契約を解除することができます。契約を解除すれば,支払った代金の返還を求めることができます。解除をするには,原則として,中古自動車屋に催告が必要ですが,場合によっては催告せずに契約を解除できることもあります。
また,甲さんは,中古自動車屋に対し,自動車の修理や,代わりの自動車の引き渡しを請求することができます。自動車の修理と代わりの自動車の引き渡し,どちらを請求するかは,原則として甲さんが選ぶことができます。もっとも,甲さんが選んだ方法が,中古自動車屋に不相当な負担となる場合は,その請求をすることはできません。
さらに,甲さんは,中古自動車屋に対し,自動車代金の減額を請求することも出来ます。もっとも,自動車が走らなくなったことについて,甲さんに責任がある場合は,代金減額請求をすることはできません。
弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第323号(2020/4/24発行)掲載