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リーガル通信 ~消費賃借・委任・寄託~

2020年11月16日

今回は,売買契約と委任契約について記載します。

 

⑴売買契約で目的物が引渡前に滅失した場合

 

(事例)売主は,買主に対し,建物を売却する契約を結んだ。代金の支払いはまだ行われていない。しかし,建物の引渡前に地震で建物が滅失した場合,買主は代金の支払いを拒絶することができるか。

 この場合,地震による滅失などのリスクは,商品を引き渡すまでは売主が負担します(五六七条一項)。よって,本件のように建物の引渡し前に地震で滅失した場合には,買主は代金の支払いを拒絶することができます。

 

⑵買主が受領を拒んだ場合

 

(事例)⑴の場合で,売主が契約の定め通りに建物を引き渡そうとしたが,買主が引き渡しを拒み,その後に建物が地震で滅失した場合はどうなるでしょうか。

この場合,買主が引き渡しを拒んだ時点で,商品滅失のリスクは買主が負うことになります。よって,買主の引渡し拒絶後に建物が滅失している本件では,建物滅失のリスクを買主が負い,買主は代金支払いを拒絶することがでません。

 

⑶委任契約の報酬について

 

 委任契約とは、委任者が,委任事務を相手方に委託する契約です。委任契約には,成果完成型(委任事務の成果に対して報酬を支払う委任契約)と,履行割合型(委任事務そのものに対して報酬を支払う委任契約)の二種類があります。

成果完成型の報酬は,成果の引渡しと同時に支払われます。また,成果が得られる前に契約が解除された場合などは,委任者に可分な利益がある場合は,その割合に応じて受任者に報酬が支払われます。

他方,履行割合型の場合は,原則として履行完了後に報酬が支払われます。また,途中で委任契約を解除した場合などは,既にした履行の割合に応じて報酬が支払われます。

 

 

 

弁護士 梶本貴之

ホワイトペッパー第337号(2020/11/6発行)掲載