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リーガル通信

2014年12月01日

 大俳優、高倉健さんがお亡くなりになりました。健さんは、「網走番外地」や「幸福の黄色いハンカチ」「鉄道員」など、道内に所縁の深い俳優でした。私は昭和六十年の生まれですので、オンタイムで観ていたのは「鉄道員」ぐらいで、多くを語る資格などないのですが、幌舞駅のプラットホームに凛として立つ乙松の姿は、まだ中学生だった私にも非常に印象的に映ったものです。


 遺作「あなたへ」で、健さんは富山刑務所の指導技官役を演じました。ほとんどのみなさんにとっては縁遠い刑務所、今回はその「刑務所」の一端をご紹介します。


 刑務所は、何らかの罪を犯し、刑罰に服することになった者が入る施設です。ニュースで、「懲役○年の実刑」という言葉を耳にしたことがあるかと思いますが、刑務所は実刑と判断された者が収容されるところです。一方、「執行猶予付きの有罪判決」という言葉もありますが、これは、本来なら決められた期間刑務所で服役しなければならないところ、執行猶予の期間内に何の罪も犯さずに過ごせば、服役せずに済むというものです(服役まで何年間か待ってあげる、という制度ではありません)。


 私は一度だけ、札幌刑務所の中に入ったことがあります(勿論、服役したわけではありません…)。最近は刑務所不足が深刻で、増改築がされているところが多く、札幌刑務所も非常に綺麗に造りかえられていました。懲役刑に処されると、受刑者は刑務所内で、自分たちの炊事や洗濯をする作業や、家具などを製作する作業を行うことになります。この報酬として、出所時に金銭を受け取ることができますが、非常に低額であり、問題視されているところでもあります。


 最後に、健さんは実際に富山刑務所を訪問し、受刑者に向けてこういった言葉をかけたそうです。「一番大切な人のことを思って生きてください。そして早くその人たちのところに帰ってあげてください。」多くの受刑者の心に響く言葉になったのではないでしょうか。

 

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第187号(2014/11/28発行)掲載