この記事を書いているのは三月上旬。外にはうず高く積み上げられた雪、雪、雪…。私にとって紋別で過ごす初めての冬ですので、平年の様子がわからないのですが、今年の雪の量は「異常だ」といった声をあちこちで耳にします。
雪の量に比例して多くなるご相談が、雪かきに関するトラブルです。雪かきをするだけでも一苦労ですが、その雪をどこに捨てるかも、大きな悩みの種となります。
当然ながら、雪を他人(隣の家など)の敷地に捨てることは許されません。自宅など、自分の敷地の中に雪を捨てられた際には、自分の所有権に基づいて、捨てた人に対してこれを取り除くよう請求することが法律上可能です。
これを踏まえて、お隣さんどうしで話し合いができればよいのですが、場合によっては言い合いにもなりかねません。隣人間の問題は、できれば第三者を交えて話し合いを行うのがよいでしょう。
では、目の前の道路に雪が捨てられ、通行の妨げになっている場合はどうでしょうか。
その道路が個人の所有物(私道)であれば別ですが、公道の場合には自身でその雪を取り除く法律上の根拠はないと考えられます。
ただし、公道に雪を捨てることは当然に違法です。道路交通法では、「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路においてはならない」と規定されており、違反した場合には三カ月以下の懲役または五万円以下の罰金に処するとされています。
ですので、雪が捨てられて通行の妨げになっている場合には、まずは警察に事情を伝えて、警察から妨害者に注意をしてもらうのがよいかと思います。
さらに、道路に雪を捨てたことによって交通事故が起こってしまった場合などは、別に民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。
この大雪に困る気持ちもわかりますが、ルールを守って正しい除雪排雪をお願いします。
弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第195号(2015/3/20 発行)掲載