前回は、債務整理のうち、任意整理と個人再生について説明しました。今回は、自己破産についてお話をします。
自己破産とは、今ある資産を全てお金に換えて債権者に返し、残りの借金を全て帳消しにする手続きです(なお、税金は帳消しになりません)。資産については、現金、不動産、車等は分かりやすいですが、退職金(破産時点で辞めた場合にもらえる額の8分の1)や保険の解約返戻金等も対象となり、各資産が20万円以上である場合には、債権者に返さなければなりません。
また、前回もお話したとおり、自己破産の場合は、借金の原因がギャンブルや多額の浪費等の場合には借金が帳消しにならないこともあります。さらに、破産手続き中は一定の職業(警備員や生命保険募集人等)に就くことができなくなります。
気になる期間と費用についてですが、自己破産の場合、弁護士に依頼してから、借金が帳消しになるまで、およそ半年から1年くらいかかります。また、費用としては、弁護士費用として約20万円から30万円程度、先ほどの資産がある方や借金の原因に問題がある方の場合には、裁判所に納める費用として最低20万必要になる場合もあります。なお、弁護士費用については、場合によっては分割で支払うことも可能ですし、現在収入があまりない方については、法テラスという制度を使えば月5000円ずつ支払うということも可能です。
このように、破産にはデメリットもあり、ある程度の時間と費用が必要となりますが、借金が返せなくなってしまってどうしようもない場合には、人生の再スタートとして、自己破産を選択することも必要だと思います。
どの手続きを取るべきかについては、借金の額、現在の収入、資産状況等によって異なってきます。もちろん最終的にはご本人に決めていただくことにはなりますが、弁護士にご相談いただければ色々とアドバイスすることができますので、借金で困っている方はぜひ一度ご相談ください。
弁護士 宮下 尚也
ホワイトペッパー第363号(2021/11/19発行)掲載
今回は、債務整理についてお話をします。
債務整理とは、借金の返済を猶予してもらったり、減額してもらったりする手続きです。債務整理には、主に「任意整理」「個人再生」「自己破産」があります。順番に説明していきます。
まず、任意整理とは、裁判所等を使わず、債権者(貸主)と直接、借金を分割して払う交渉をする手続きです。どのように返済することになるかは事案によって異なりますが、借金を3年から5年(36回から60回)くらいで分割して返すことになる場合が多いです。例えば、借金が180万円の場合、月5万円返済して3年で払い終えることになります。通常、借金を分割で返す場合には利息が発生しますが、任意整理をすると今後の利息は免除してもらえることが多いです。借金の額が多い又は分割で返せるお金があまりないという場合には、任意整理をするのは難しいです。
次に、個人再生とは、裁判所を利用する手続きで、借金の額を5分の1まで減らし(5分の1にすると100万円以下になる場合は100万円となります)、原則3年(36回)で返済していくことになります。同じように裁判所を利用する自己破産と比べて、借金がゼロになる訳ではありません。そうすると自己破産の方がいいようにも思えますが、自己破産では住宅ローンが残っている家は売却しなければならないのに対し、個人再生では、家を売却せずに済む場合があります。また、自己破産は借金の原因がギャンブルや多額の浪費等の場合には借金がゼロにしてもらえないことがありますが、個人再生ではそのようなことはありません。さらに、自己破産では資格制限といって、破産手続き中、一定の職業(警備員や生命保険募集人等)に就くことができなくなりますが、個人再生には資格制限はありません。それぞれの手続きにはメリット・デメリットがあるで、状況に応じて、どの手続きにするか考えていくことになります。
最後に自己破産についてご説明したいところなのですが、字数が達してしまったので、次回ご説明します。
弁護士 宮下 尚也
ホワイトペッパー第359号(2021/9発行)掲載
開 催 日 令和3年12月7日(火)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 地域交流センター2階会議室
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年12月7日(火)
開催時間 10:00~12:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 福祉保健相談センター きらり
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年12月2日(木)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 滝上町役場町民相談室(1階)
ご予約先 0158-28-5585(流氷の町ひまわり基金法律事務所)
※人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年12月2日(木)
開催時間 10:00~12:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 西興部村公民館
ご予約先 0158-28-5585(流氷の町ひまわり基金法律事務所)
*人数限定ですので、事前にご予約下さい
開 催 日 令和3年11月4日(木)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 滝上町役場町民相談室(1階)
ご予約先 0158-28-5585(流氷の町ひまわり基金法律事務所)
※人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年11月2日(火)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 地域交流センター2階会議室
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年11月2日(火)
開催時間 10:00~12:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 福祉保健相談センター きらり
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。
今回は、交通事故の被害に遭った場合に、どのようなお金を請求できるのかについてお話をします。
交通事故で請求できる損害は、物に対する「物損」と人に対する「人損」に分かれます。
物損には、車の修理費、代車使用料、評価損(修理しても見た目や機能が損なわれた又は事故歴がついたことによる損害)、事故によって家屋や積荷等が壊された場合の損害等があります。
人損には、治療費、通院交通費、将来介護費、装具・器具代、葬儀費用、休業損害、死亡・傷害・後遺障害慰謝料、死亡・後遺障害逸失利益等があり、特に大きな額になるのは慰謝料と逸失利益です。
慰謝料については、それぞれ基準があり、死亡慰謝料は2000~2800万円、傷害慰謝料は入通院期間に応じて19~350万円、後遺障害慰謝料は後遺症の程度に応じて110~2800万円となっています。
これは、「赤本基準」という裁判になった時に使う基準で、弁護士はこの金額を基準に交渉します。しかし、弁護士を使わずに交渉した場合には、保険会社は保険会社基準という低い基準を前提に提案してきて、最終的な金額が低くなってしまうことが多いです。
逸失利益とは、事故による死亡・後遺障害がなければ、得られたはずであった利益のことをいいます。例えば、50歳・男性・妻子あり・年収500万円の人が交通事故により亡くなった場合、死亡逸失利益は約4600万円となります(計算方法を説明すると紙面が足りなくなるので省略します。)。収入がない専業主婦や学生等の場合でも、賃金センサスというものを用いて収入を計算します。
交通事故では、損害項目がたくさんあるだけでなく、それぞれの項目で問題となる点が多々あります。さらに、保険会社は弁護士相手でなければ低い基準で提案してくるので、弁護士費用を考えても、弁護士に依頼した方が得になるケースが多いです。
特に任意保険に弁護士特約をつけていれば、300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれるので、よほど請求金額が大きい事件でなければ、弁護士費用を払う必要がなくなります。車によく乗る人は、弁護士特約をつけておくことを強くお勧めします。
弁護士 宮下 尚也
ホワイトペッパー第357号(2021/8/27発行)掲載