今回も改正会社法の内容をご紹介します。
①社外取締役制度の改正について
上場会社等(公開会社かつ大会社である監査役会設置会社のうち,発行株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社)では,社外取締役を設置することが義務付けられました。これは,社外取締役には業務執行者から独立した立場で監督を行い,また経営者と少数株主との利益相反の監督を行う役割が期待されているためです。
②社債管理補助者制度について
⑴社債管理補助者制度を設けた理由
改正前の会社法では,原則として社債管理者を定め,社債の管理を委託する必要がありました。しかし,実際には,社債管理者を置かない会社が多いという実態がありました。これは,社債管理者を確保することが難しいという事情があったためです。そこで,会社法改正により,社債管理補助者の制度が設けられることとなりました。
⑵社債管理補助者の設置
社債管理補助者は,社債管理者を定める必要がなく,かつ,社債権者の社債が担保付でない場合に置くことができます。社債管理者には,銀行,信託会社等,弁護士及び弁護士法人がなることできます。
⑶社債管理補助者制度の内容
社債管理補助者は,社債権者の社債の管理を補助するために,破産手続,再生手続又は更生手続への参加,配当要求,債権者集会の招集,清算手続での債権の申し出など,さまざまな権限を有しています。もっとも,社債管理補助者は,社債管理者よりも,権限や裁量が限定されたものになっています。
また,社債管理補助者は,社債権者のために公平誠実義務と善管注意義務を負います。
弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第347号(2021/4/9発行)掲載
今回も改正会社法の内容をご紹介します。
①役員賠償責任保険契約(D&O保険)について
役員等賠償責任保険契約とは、会社と保険者の保険契約のうち,役員等がその職務執行に関して責任を負うこと,または責任追及の請求を受けることによって生ずることのある損害を保険者が補填することを約するものであって,役員等を被保険者とするもの,を指します。役員等賠償責任保険契約は.役員等のモラルハザードを生じさせる恐れがありますが,他方で役員等の職務執行の萎縮を防止する必要があります。そこで,役員等賠償責任保険契約についての規定が新設されることとなりました。なお,PL保険,企業総合賠償責任保険,自動車損害賠償責任保険,海外旅行保険等については,役員等賠償責任保険契約から除外されています。これらの保険は,利益相反の恐れが類型的に低いといえるからです。
この点,役員等賠償責任保険契約は,利益相反性が類型的に高いと考えられるため,会社が同契約の内容を決定するには,株主総会決議(取締役会設置会社においては取締役会決議)が必要です。また,役員等賠償責任保険契約の締結に際し、会社法356条1項及び同2項,並びに同法423条3項の利益相反の規定は適用されません。これは,役員等に対して適切なインセンティブを与えるという役員等賠償責任保険契約の趣旨からすると,これほどの厳格な規制は相当でないと考えられたためです。
②社外取締役制度の改正について
会社と取締役との利益が相反する状況にある時,その他取締役が会社の業務を執行することにより株主の利益を損なう恐れがある時は,会社は,取締役の決定(取締役会設置会社に会っては取締役会の決議)により,会社の業務執行を社外取締役に委託することができるようになります。また,この委託による業務執行によっては,社外取締役の要件を失うものではないこととされます。
弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第345号(2021/3/発行)掲載
開 催 日 令和3年4月6日(火)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 地域交流センター2階会議室
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年4月6日(火)
開催時間 10:00~12:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 福祉保健相談センター きらり
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年4月1日(木)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 滝上町役場町民相談室(1階)
ご予約先 0158-28-5585(流氷の町ひまわり基金法律事務所)
※人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年4月1日(木)
開催時間 10:00~12:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 西興部村公民館
ご予約先 0158-28-5585(流氷の町ひまわり基金法律事務所)
*人数限定ですので、事前にご予約下さい
今回も改正会社法の内容をご紹介します。
①非金銭報酬ついて
取締役に対して,株式や新株予約権といった非金銭報酬を交付する企業が増えています。そこで,非金銭報酬に関する法改正が行われます。改正会社法においては、報酬として自社の株式や新株予約権を取締役に対し付与する場合.募集株式の数の上限その他法務省令で定める事項を定款又は株主総会決議により定めなくてはならないこととなります。
また,現状,株式や新株予約権の処分をするには、金銭の払込みもしくは金銭以外の財産の給付が必要です。そのため,役員の報酬請求権を現物出資とする難解な法形式がとられていました。そこで,改正会社法ではこれを改正し,上場会社は、取締役の報酬等として株式や新株予約権を付与する場合には、金銭の払込み又は財産の給付を必要としないこととされています。
②役員等との補償契約について
補償契約は役員等のモラルハザードを生じさせる恐れがありますが,他方で役員等の職務執行の萎縮を防止する必要があります。そこで,補償契約について規定が新設されます。
補償契約とは,役員等が職務執行に関して法令違反が疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことで要する費用や(防御費用),第三者に生じた損害賠償責任の全部または一部を会社が補償する契約です。もっとも,防御費用では通常要する費用のみが補償対象となります。また、防御費用について,補償を受けた取締役が自己や第三者の不正な利益を図る目的で職務を執行したことを認識していたとき、会社は補償した金額の相当額の返還請求が可能です。また,第三者に生じた賠償の責任については,株式会社が第三者に賠償した場合に当該役員等に求償することができる部分,及び役員等に悪意又は重過失がある場合にはその全額が補償されません。
なお,補償契約の内容を定めるには,株主総会(取締役会設置会社では取締役会決議)の決議が必要となります。
弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第343号(2021/2/12発行)掲載
会社法が改正されるので,今回も改正会社法の内容をご紹介します。
①株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置
株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置として,株主が議案要領通知請求権に基づき同一の株主総会において提案できる議案数の上限が10となります。この制度が導入されるのは,一部の株主により膨大な数の議案が提出されるなど,株主提案権の濫用的な行使により,株主総会の進行が妨げられることがあったためです。
また,議案の数の数え方が問題となります。この点,役員等の選任又は解任等に関する議案は人数に関わらず1つの議案,会計監査人を再任しないことに関する議案も一つの議案,定款の変更に関する2つ以上の議案について異なる議案がされたとしたときに相互に矛盾する可能性のある議案も1つの議案,とそれぞれみなすこととされました。また,議案の数が10を超える場合は,どのように優先順位を決めるのか問題となります。この点,株主が優先順位を決めているのであればそれに従い,そうでない場合は取締役が優先順位を決めます。
②取締役の報酬の決定方法について
現状,取締役の報酬は,総額を株主総会または定款で定めた場合,取締役個人別の報酬は明らかにする必要がありませんでした。
しかし,法改正により,上場会社等(一定の取締役会設定会社及び全ての監査等委員会設置会社)の取締役会は,監査等委員である取締役を除く取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を決定する必要が生じます。具体的な規定は法務省令で規定されますが,業績連動報酬の有無及び内容の決定方針,報酬等の種類ごとの割合の決定方針,報酬等を与える時期又は条件の決定方針などが想定されています。
弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第341号(2021/1発行)掲載
開 催 日 令和3年3月4日(木)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 滝上町役場町民相談室(1階)
ご予約先 0158-28-5585(流氷の町ひまわり基金法律事務所)
※人数限定ですので、事前にご予約下さい。
開 催 日 令和3年3月2日(火)
開催時間 13:00~16:00まで(お一人様30分程度)
開催場所 地域交流センター2階会議室
ご予約先 0158-26-2277
*人数限定ですので、事前にご予約下さい。