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リーガル通信 ~交通事故(物損事故)~

2016年10月18日

 山からは初雪の便りが届く季節となりました。山間部の峠道では雪が舞うでしょう,という天気予報も流れるようになりましたね。いよいよ冬道シーズンの到来,ということで,今回は交通事故,その中でも「物損事故」のお話です。

 

 たとえば,交差点でスリップして止まりきれなかった車に追突されてしまった,という事故を例に考えてみましょう。まず,乗っていた車が破損してしまい,修理しなければならなくなった場合,その修理に要する費用を相手方に請求できるのは当然です(逆に言うと,例えば購入して数日しか経っていない自動車の場合でも,これを新しい車に買い換えてほしいといった請求は通らないことになります)。また,追突の衝撃が大きくて修理が不可能なほど破損してしまった場合や,修理が可能であっても,その修理費が事故前の車の時価をこえるような場合には,いわゆる「全損扱い」となり,事故前の車の時価分の金額を賠償するよう相手方に請求できることとなります。

 

 加えて,修理ができたとしても,なお車両としての機能や外観が完全に元通りにならない場合や事故暦によって車の評価が下がってしまった場合には,その分車の価値が下がってしまうことになりますから,この価値の減少分についても賠償するよう請求することが可能です。ただ,そもそも価値が減少したのかや,どの程度減少したのかを判断するのはなかなか難しいところがありますので,専門家にご相談することをお勧めします。

 

 また,事故によって修理,あるいは車の買い替えが必要になった場合には,その期間中車を使用することができなくなってしまいます。このため,代車を借りることもあるかと思いますが,代車を借りる必要性がある場合に限り,その代車の使用料も相手方に請求することが可能です。

 ただし,注意していただきたいのが,修理に通常必要な期間,あるいは新しい車を購入するのに相当な期間分しか請求できないことです。たとえば,買い換える車をどれにしようか迷って3ヶ月経ってしまった,という場合に,3か月分の代車料を相手方に請求することはできません。おおよその目安ですが,修理の場合には2週間程度,買い替えの場合には2週間から1ヶ月程度が「相当な期間」とされていますので,参考にしてください。

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第235号(2016/10/14 発行)掲載