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リーガル通信 ~離婚の慰謝料~

2017年12月04日

 離婚のご相談を受ける際に多く聞かれるのが,「先生,相手から慰謝料を取れますか」ということです。今回は,離婚に際しての慰謝料についてお話したいと思います。

 

 芸能人の夫婦が離婚する際に何千万円もの慰謝料を払ったという報道がたびたびされるため,みなさんの中には,離婚をする際には必ず相手から慰謝料を取れると考えている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。しかし,実際はそうではありません。離婚をする際,相手に慰謝料を請求できるケースというのは,相手が「一方的に」夫婦の仲を破たんさせる原因を作った場合に限られます。たとえば,相手が不倫したことで離婚する場合,相手の暴力や暴言によって離婚する場合などがその典型です。これに対して,性格が合わないなどの理由で夫婦の意思疎通が欠けてしまい,結果として離婚に至ってしまうような場合は,どちらか一方に破たんの責任があるとは評価できません。性格が合わない相手に慰謝料を請求したいというお気持ちはわかりますが,このようなケースで慰謝料を請求するのは,法的には難しいでしょう。

 

 また,相手に不倫や暴力などがあるケースでも,その事実を証明するものがあったほうがよいでしょう。相手が事実を認めた場合は別ですが,事実の有無で争いになった場合には,その証拠の有無で慰謝料をもらえるかどうかが変わってくるからです。暴力であれば,受けた傷の写真や病院の診断書などが証明の助けになりますし,不倫であれば,不倫相手とのメールなどが証拠となり得るでしょう。

 

 では,慰謝料の請求ができるケースで相手からもらえる金額ですが,これはケースバイケースとしか言えません。ただし,最初にお話した芸能人のケースのように何千万円もの慰謝料を請求できるケースは極めて稀です。幅はありますが,百万円から三百万円までの間で落ち着くケースがほとんどだと思います。もっとも,相手に支払能力がなければ支払を請求することは難しく,このような場合は,分割で支払ってもらうか,基準よりも低い金額を支払ってもらうしかないことになります。

 

弁護士 田村秀樹
ホワイトペッパー第263号(2017/11/24発行)掲載