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リーガル通信 ~相続法改正②~

2019年10月29日

 相続法の改正が行われました。前回に引き続き,改正相続法の一部をご紹介します。まず,用語解説として,「配偶者」とは結婚相手のことを言い,「被相続人」とは,相続があった時に,亡くなった本人を言います。

 

 では,「配偶者居住権」という制度をご紹介します。配偶者居住権とは,次のような場合を想定した制度です。すなわち,ABは夫婦であり,A所有の不動産(以下「本件居宅」)に同居していました。しかし,Aが亡くなりました。このような場合,Bは,本件居宅に住み続けたいと考えることが多いと思います。こうしたBを保護するのが,配偶者居住権です。配偶者は,遺産分割等で配偶者居住権を取得すれば,被相続人の建物に無償で住み続けることができます。もっとも,配偶者が配偶者居住権を取得するには,被相続人の生前から,被相続人が所有していた建物に居住している必要があります。

 

法改正前であれば,Bは,①本件建物の所有権を遺産分割で取得するか,もしくは②本件建物を相続した人から賃借しなければ,本件建物に住み続けることはできませんでした。しかし,Bは,配偶者居住権を遺産分割等で取得すれば,無償で,本件建物に住み続けることができます。

 

また,配偶者居住権以外に配偶者を保護する制度として,「配偶者短期居住権」が創設されました。配偶者短期居住権は,①建物の取得者が確定してから6か月までの間,もしくは②相続開始から6か月までの間,配偶者に建物に無償で居住することを認める制度です。ただし,配偶者短期居住権が認められるためには,配偶者が,被相続人の生前から被相続人の所有建物に居住していることが必要です。配偶者短期居住権では,配偶者居住権と異なり,配偶者は遺産分割を行わなくても建物に居住することができます。なお,配偶者短期居住権は期間制限があるので,期間経過後は,建物の所有者に建物を返還する必要があります。配偶者居住権も配偶者短期居住権も,令和241日から制度が開始します。

 


弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第311号(2019/10/25発行)掲載