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リーガル通信 ~相続法改正③~

2019年11月29日

 相続法の改正が行われました。今回も,改正相続法をご紹介します。

 

 まず,「遺産の一部分割」が可能であることが,法律に明記されました。「遺産の一部分割」とは,遺産全部の分割の話がまとまらない場合等に,遺産の一部だけを先に分割するものです。

 

 また,「特別の寄与」についても改正されました。「特別の寄与」とは,被相続人に対し,無償で看病や労働の提供をする等した人を,優遇する制度です。しかし,改正前では,「特別の寄与」をした場合に優遇されるのは,相続人だけでした。具体例を挙げます。被相続人Aに,息子Bと息子Dがいて,Bには妻Cがいたとします。そして,息子Bの妻Cが被相続人Aに無償で看護をしていたとします。しかし,改正前では,息子Bの妻Cは被相続人Aの相続人ではないため,「特別の寄与」は原則として認められませんでした。これが法改正により,「特別の寄与」で優遇されるのは,被相続人の「親族」となり,範囲が拡大されました。そして,息子Bの妻Cは,被相続人Aの「親族」となります。よって,妻Cは「特別の寄与」を理由に優遇され,金銭の請求ができるようになりました。

 

 また,「特別受益の持戻し」について,改正が行われました。「特別受益の持ち戻し」とは,簡単に言えば次のような制度です。すなわち,被相続人から,相続人の一人にだけ,特別に財産が贈与されていたとします。すると,遺産分割では,この特別に財産の贈与を受けた相続人の相続分が少なくなることがあります。これが「特別受益の持戻し」です。今回,この「特別受益の持戻し」が改正されました。具体的には,結婚して20年以上の夫婦の一方が,もう一方の夫婦に居住用の不動産を贈与等した場合,「特別受益の持戻し」が原則として適用されなくなります。これにより,結婚して20年以上の夫婦の一方が,もう一方の夫婦に居住用の不動産を贈与等した場合,贈与を受けたことで相続分が減少することは原則ありません。

 


弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第313号(2019/11/22発行)掲載