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リーガル通信 ~定型約款~

2020年07月20日

⑴はじめに

 今回は,定型約款について記載します。定型約款とは,保険契約の約款やクレジットカードの約款のように,定型的な取引において契約の内容とするために特定の者に準備された約款のことをいいます。「不特定多数の取引相手がいて,かつ内容が画一的な契約」においては,定型の約款を準備することが合理的なため,定型約款は広く用いられています。

 

⑵定型約款の条項が契約の内容となる要件

 定型約款の条項は,次の①②のいずれかに該当するとき,原則として契約の内容になります。①当事者間で定型約款を契約の内容とする旨の合意をするとき,②定型約款を準備した者が,あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示しているとき。②については,例えば,定型約款準備者のホームページなどで一般的に定型約款が公表されているだけでは足りません。インターネットを介した取引であれば,契約締結画面までの間に定型約款を画面上で認識可能な状態におくことが必要となります(定型約款の内容が画面で表示されないと契約締結に進めないなど)。

 

⑶定型約款における不当条項規制

 不当な条項については,定型約款に記載があっても,契約の内容とはなりません。すなわち,①相手方の権利を制限し,又は義務を加重する条項で,かつ②その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして信義則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるもの,については,不当条項となり契約の内容とはなりません。不当条項の具体例としては,「相手方に対して過大な違約罰を定める条項」「定型約款準備者の故意または重過失による損害賠償責任を免責する旨の条項」などが考えられます。

 

⑷定型約款の表示義務

 定型約款を準備した者は,定型取引合意の前,または定型取引合意の後相当の期間内に,相手方から請求があった場合には,遅滞なく相当な方法で定型約款の内容を示さなければなりません。

 

 

 

弁護士 梶本貴之
ホワイトペッパー第329号(2020/7/17発行)掲載