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リーガル通信 ~会社法改正 濫用的な行動制限・報酬①~

2021年02月17日

 会社法が改正されるので,今回も改正会社法の内容をご紹介します。

 

①株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置

 株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置として,株主が議案要領通知請求権に基づき同一の株主総会において提案できる議案数の上限が10となります。この制度が導入されるのは,一部の株主により膨大な数の議案が提出されるなど,株主提案権の濫用的な行使により,株主総会の進行が妨げられることがあったためです。

 また,議案の数の数え方が問題となります。この点,役員等の選任又は解任等に関する議案は人数に関わらず1つの議案,会計監査人を再任しないことに関する議案も一つの議案,定款の変更に関する2つ以上の議案について異なる議案がされたとしたときに相互に矛盾する可能性のある議案も1つの議案,とそれぞれみなすこととされました。また,議案の数が10を超える場合は,どのように優先順位を決めるのか問題となります。この点,株主が優先順位を決めているのであればそれに従い,そうでない場合は取締役が優先順位を決めます。

 

②取締役の報酬の決定方法について

 現状,取締役の報酬は,総額を株主総会または定款で定めた場合,取締役個人別の報酬は明らかにする必要がありませんでした。

しかし,法改正により,上場会社等(一定の取締役会設定会社及び全ての監査等委員会設置会社)の取締役会は,監査等委員である取締役を除く取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を決定する必要が生じます。具体的な規定は法務省令で規定されますが,業績連動報酬の有無及び内容の決定方針,報酬等の種類ごとの割合の決定方針,報酬等を与える時期又は条件の決定方針などが想定されています。

 

弁護士 梶本貴之

ホワイトペッパー第341号(2021/1発行)掲載