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リーガル通信 ~会社法改正 報酬②,補償契約~

2021年02月17日

今回も改正会社法の内容をご紹介します。

 

①非金銭報酬ついて

 取締役に対して,株式や新株予約権といった非金銭報酬を交付する企業が増えています。そこで,非金銭報酬に関する法改正が行われます。改正会社法においては、報酬として自社の株式や新株予約権を取締役に対し付与する場合.募集株式の数の上限その他法務省令で定める事項を定款又は株主総会決議により定めなくてはならないこととなります。

また,現状,株式や新株予約権の処分をするには、金銭の払込みもしくは金銭以外の財産の給付が必要です。そのため,役員の報酬請求権を現物出資とする難解な法形式がとられていました。そこで,改正会社法ではこれを改正し,上場会社は、取締役の報酬等として株式や新株予約権を付与する場合には、金銭の払込み又は財産の給付を必要としないこととされています。

 

②役員等との補償契約について

 補償契約は役員等のモラルハザードを生じさせる恐れがありますが,他方で役員等の職務執行の萎縮を防止する必要があります。そこで,補償契約について規定が新設されます。

 補償契約とは,役員等が職務執行に関して法令違反が疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことで要する費用や(防御費用),第三者に生じた損害賠償責任の全部または一部を会社が補償する契約です。もっとも,防御費用では通常要する費用のみが補償対象となります。また、防御費用について,補償を受けた取締役が自己や第三者の不正な利益を図る目的で職務を執行したことを認識していたとき、会社は補償した金額の相当額の返還請求が可能です。また,第三者に生じた賠償の責任については,株式会社が第三者に賠償した場合に当該役員等に求償することができる部分,及び役員等に悪意又は重過失がある場合にはその全額が補償されません。

なお,補償契約の内容を定めるには,株主総会(取締役会設置会社では取締役会決議)の決議が必要となります。

 

弁護士 梶本貴之

ホワイトペッパー第343号(2021/2/12発行)掲載