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リーガル通信 ~詐害的 差止請求 監査等委員会~

2021年06月03日

 今回も,平成26年度会社法改正について紹介します。

 

⑴詐害的会社分割での債権者保護

 経営状態が悪く負債を抱えた会社が,承継会社に優良な事業に関する権利義務や資産等を承継させ,元の会社に不要な借金等を残すことを詐害的会社分割といいます。詐害的会社分割は,既存の債権者が満足な弁済を受けられなくなる恐れがあり,その利益を害するものです。そこで,平成26年度会社法改正では,残った債権者を保護する規定を定めました。具体的には,残存債権者は,詐害的会社分割が行われたときは,分割承継会社に対して債務の履行を請求することができます。また,会社分割のみでなく,事業譲渡についても同様の制度が定められました。

 

⑵組織再編における差止請求

 会社法では,合併や会社分割といった組織再編について,法令違反や定款委違反が認められる場合等に無効の訴えや株主総会取消の訴えが認められています。しかし,これらは事後の手続で,事前の手続としては略式組織再編にのみ差止請求が認められていました。そこで,平成26年度会社法改正により,略式組織再編以外にも株主の差止請求が認められました。具体的には,法令・定款違反によって株主が不利益を受ける恐れがある場合には,株主に組織再編の差止請求が認められました。

 

⑶監査等委員会設置会社

 平成26年度改正により,監査等委員会設置会社が規定されました。監査等委員会設置会社では,過半数を社外取締役として、取締役3人以上で構成する監査等委員会が代表取締役の業務執行を監査します。監査等委員会設置会社の目的は,社外取締役の活用と取締役会による監督の強化にあります。監査等委員会設置会社となる場合は,定款で定める必要があります。

 

弁護士 梶本貴之

ホワイトペッパー第351号(2021/6/4発行)掲載