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リーガル通信 ~交通事故~

2021年09月16日

 今回は、交通事故の被害に遭った場合に、どのようなお金を請求できるのかについてお話をします。

 交通事故で請求できる損害は、物に対する「物損」と人に対する「人損」に分かれます。

 物損には、車の修理費、代車使用料、評価損(修理しても見た目や機能が損なわれた又は事故歴がついたことによる損害)、事故によって家屋や積荷等が壊された場合の損害等があります。

 人損には、治療費、通院交通費、将来介護費、装具・器具代、葬儀費用、休業損害、死亡・傷害・後遺障害慰謝料、死亡・後遺障害逸失利益等があり、特に大きな額になるのは慰謝料と逸失利益です。

 慰謝料については、それぞれ基準があり、死亡慰謝料は2000~2800万円、傷害慰謝料は入通院期間に応じて19~350万円、後遺障害慰謝料は後遺症の程度に応じて110~2800万円となっています。

 これは、「赤本基準」という裁判になった時に使う基準で、弁護士はこの金額を基準に交渉します。しかし、弁護士を使わずに交渉した場合には、保険会社は保険会社基準という低い基準を前提に提案してきて、最終的な金額が低くなってしまうことが多いです。

 逸失利益とは、事故による死亡・後遺障害がなければ、得られたはずであった利益のことをいいます。例えば、50歳・男性・妻子あり・年収500万円の人が交通事故により亡くなった場合、死亡逸失利益は約4600万円となります(計算方法を説明すると紙面が足りなくなるので省略します。)。収入がない専業主婦や学生等の場合でも、賃金センサスというものを用いて収入を計算します。

 交通事故では、損害項目がたくさんあるだけでなく、それぞれの項目で問題となる点が多々あります。さらに、保険会社は弁護士相手でなければ低い基準で提案してくるので、弁護士費用を考えても、弁護士に依頼した方が得になるケースが多いです。

 特に任意保険に弁護士特約をつけていれば、300万円までの弁護士費用を保険会社が負担してくれるので、よほど請求金額が大きい事件でなければ、弁護士費用を払う必要がなくなります。車によく乗る人は、弁護士特約をつけておくことを強くお勧めします。

 

弁護士 宮下 尚也

ホワイトペッパー第357号(2021/8/27発行)掲載