一人で悩んでいませんか?まずはお気軽にご相談下さい

リーガル通信 ~離婚手続き~

2021年09月16日

 前回は、弁護士がどのように紛争を解決するかについて、貸金請求を例に、任意交渉→訴訟(→強制執行)という流れが一般的というお話をしました。今回は離婚の場合についてお話をします。

 離婚は、夫婦で協議の上、離婚することを決める「協議離婚」が一般的です。しかし、どちらか一方が離婚に反対した場合は、協議離婚はできません。離婚自体に反対している場合だけでなく、離婚の際に決めなければならないこと(財産分与、親権、養育費、面会交流、慰謝料等)の話がまとまらず、協議離婚ができない場合もあります。

 ここで弁護士に依頼した場合、弁護士はまず任意交渉をします。そして、交渉で話がまとまらなかった場合には、原則として訴訟をする前に調停をしなければなりません。これを「調停前置主義」といいます。調停とは、裁判所で話し合いをすることで紛争を解決する手続です。もっとも、相手と直接話し合いをするのではなく、家事調停委員に対して交互に話をして進めていきます。調停でも話がまとまらなかった場合には、訴訟をすることになります。

 調停や訴訟で離婚が決まった場合には、法律上は調停成立時や判決確定時に離婚が成立したことになります。ただし、自動的に戸籍に反映される訳ではありませんので、離婚を請求した側が離婚届を役所に提出する必要があります。なお、この際には、通常必要とされる相手の署名や証人は必要なくなります。

 このように、離婚自体については、調停や訴訟で一度決まれば、その後の相手の意思に関係なく離婚をすることができ、強制執行をする必要はありません。しかし、調停や訴訟で決まった離婚に伴う金銭的請求(財産分与、養育費、慰謝料等)が約束どおり支払われなかった場合には、強制執行をすることになります。

 以上のとおり、離婚の場合には、任意交渉→調停→訴訟(→強制執行)という流れが一般的で、訴訟の前に原則的に調停をしなければならないのが特徴です。

 離婚に限らず、事件によって手続が違ってくる場合があるので、どのような手続きを取るべきかについて等、弁護士にお気軽にご相談ください。

 

弁護士 宮下 尚也

ホワイトペッパー第355号(2021/7/30発行)掲載